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第10話「新人冒険者、調査を頼まれる」

 グランドファングの解体と素材の買い取りを終えたガルドたちは、再び冒険者ギルドの受付へ戻ってきた。

「こちらが今回の討伐報酬です」

 受付嬢から袋を渡される。

 ガルドは中身を確認した。

「結構あるな」

「Cランク相当の魔物ですからね。それに、素材の状態もかなり良かったです」

「そうか」

 ガルドは満足そうに頷いた。

 そして――。

「肉は?」

「ちゃんとありますよ」

「よし」

 ガルドは嬉しそうに笑った。

 セリナはその様子を見て、くすくすと笑う。

「報酬より肉のほうが嬉しそうね」

「報酬があれば肉も買えるだろ」

「そういう考え方なのね」

 そんな二人のやり取りを見ていた受付嬢が、少し困ったような顔をした。

「実は、お二人にお願いしたいことがあるんです」

「お願い?」

 セリナが聞き返す。

「はい」

 受付嬢は一枚の紙を取り出した。

「今回のグランドファングについてです」

 ガルドとセリナの表情が変わる。

「やっぱり、普通じゃなかったのね」

「はい」

 受付嬢が頷く。

「グランドファングは、本来この町の北にある山岳地帯に生息しています。ですが、今回発見された場所は町の近くの草原です」

「かなり離れているの?」

「そうですね。魔物が自分から移動した可能性もありますが……」

 受付嬢は地図を広げる。

「最近、同じような報告がいくつか出ているんです」

 セリナが地図を覗き込む。

「他にも?」

「はい。普段は森の奥にいるはずの魔物が街道近くで目撃されたり、森から出てくる魔物が増えたりしています」

「それは気になるわね」

 ガルドは地図を見る。

「どこを調べるんだ?」

「こちらです」

 受付嬢が指を差した。

 町の北。

 そこには広い森が描かれている。

「北の森です」

「森か」

「はい。数日前から、森の奥で魔物の動きがおかしいという報告があります」

 ガルドは地図を見つめる。

「強い魔物がいるのか?」

「まだ分かりません」

「じゃあ、見に行けば分かるな」

 セリナがガルドを見る。

「行くつもり?」

「依頼なんだろ?」

「そうだけど……」

 受付嬢が説明を続ける。

「今回お願いしたいのは、あくまで調査です。危険な魔物を見つけた場合は無理に戦わず、戻ってきてください」

「分かった」

 ガルドは素直に頷いた。

 セリナも少し考えたあと、頷く。

「私も行くわ」

「決まりだな」

 二人は依頼を引き受けることにした。


 ギルドを出る。

 夕方の町には、少しずつ帰宅する人々が増えていた。

 ガルドは隣を歩くセリナに尋ねる。

「明日は北の森か」

「そうね」

「森なら、魔物もいるだろうな」

「たぶんね」

「肉もあるかな」

「……そこは期待しないほうがいいと思う」

「なんでだ?」

「調査だから」

「魔物を見つけたら?」

「必要なら倒す」

「じゃあ肉も手に入るな」

「……そういうところだけは話が早いのよね」

 セリナが笑う。

 ガルドも笑った。

 そして二人は、今日の宿を探すため町の通りを歩いていく。

 その途中。

「そういえば」

 セリナが口を開いた。

「ガルドって、明日もその大剣で行くの?」

「ああ」

「森の中だと、少し振りにくいかもしれないわよ?」

「大丈夫だ」

「本当に?」

「大剣が一番使いやすいからな」

 ガルドは背中の大剣を軽く叩いた。

「俺にはこれが一番合ってる」

「……そう」

 セリナは大剣を見る。

 巨大な刀身。

 普通の冒険者なら、持ち歩くだけでも大変そうな武器だ。

 けれど、ガルドにとってはそれが当たり前。

「じゃあ、明日も頼りにしてるわ」

「ああ」

 ガルドは笑った。


 その夜。

 二人は宿で食事をしていた。

 テーブルの上には、今日手に入れたグランドファングの肉を使った料理も並んでいる。

「……うまい」

 ガルドは幸せそうな顔で肉を食べていた。

「そんなに気に入った?」

「ああ」

 セリナも一口食べる。

「確かに美味しいわね」

「だろ?」

「でも、明日は調査なんだから、ちゃんと起きてね」

「分かってる」

「朝ご飯も食べてから行くのよ」

「……分かった」

 ガルドが少しだけ気まずそうに頷く。

「今度は忘れない」

「そこは覚えてたのね」

 二人は笑った。

 こうして、隣町での一日は終わった。

 そして翌朝。

 ガルドとセリナは、北の森へ向かうことになる。

 まだ二人は知らなかった。

 その森の奥で――。

 今回の魔物の異常な行動につながる何かが、静かに待っていることを。

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この記事を書いた人

Web小説書いてます。最強・ファンタジー・冒険・ほのぼの・飯テロが好き。Xアカウントはこちら→

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