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第8話「新人冒険者、謎の魔物と戦う」

 巨大な魔物が、草原を駆けてくる。

 地面が揺れるほどの巨体。

 鋭い牙を持ち、四本の足で一気に距離を詰めてくる。

「ガルド、右!」

 セリナが叫ぶ。

「分かった!」

 ガルドは大剣を構えたまま、横へ飛ぶ。

 直後。

 魔物の巨体が、ガルドのいた場所を通り過ぎた。

 ズドンッ!

 地面が大きくえぐれる。

「……すごい威力ね」

 セリナが呟く。

「当たったら痛そうだな」

「痛いどころじゃないと思うけど」

 ガルドは魔物を見据える。

「セリナ、あいつは任せていいか?」

「え?」

「俺が近づくまで、止めてくれ」

「分かった!」

 セリナは弓を構える。

 矢を一本。

 素早く放つ。

 ヒュッ!

 矢は魔物の足元へ突き刺さった。

 魔物が一瞬だけ動きを止める。

「今よ!」

 ガルドが駆け出す。

 大剣を両手で握り、一直線に距離を詰めていく。

 魔物がガルドに気づき、向きを変える。

 大きな口が開いた。

「ガアアアッ!」

「でかい口だな」

 ガルドは大剣を振り上げる。

「でも――」

 力を込める。

「肉はうまそうだ!」

 ズドンッ!

 大剣が魔物の身体に叩き込まれる。

 巨大な身体が横へ吹き飛んだ。

「えっ……」

 セリナが目を見開く。

 魔物は地面を何度も転がり、ようやく止まった。

 だが、まだ立ち上がろうとしている。

「まだ動くか」

 ガルドは大剣を構え直す。

 魔物が唸り声を上げながら立ち上がった。

「ガアアアッ!」

「もう一回だな」

 ガルドが踏み込む。

 魔物も同時に飛びかかってきた。

 真正面からぶつかる。

 ガルドは大剣を横薙ぎに振った。

「おおおっ!」

 ドゴンッ!

 大剣が魔物を捉える。

 巨体が宙に浮き、そのまま遠くへ吹き飛んでいった。

 草原を転がり、土煙が上がる。

 そして――。

 動かなくなった。

 静かになった草原。

 ガルドは大剣を肩に担いだ。

「倒したな」

「……うん」

 セリナは呆然としながら頷いた。

「ガルド」

「なんだ?」

「今の魔物、かなり大きかったわよね?」

「ああ」

「かなり強かったと思うんだけど」

「そうなのか?」

「……たぶん」

 セリナは深く息を吐いた。

「あなた、本当に自分がどれくらい強いのか分かってないのね」

「そう言われてもな」

 ガルドは倒れた魔物へ近づいていく。

 そして、その身体をじっと見る。

「セリナ」

「なに?」

「これ、食えるか?」

「……」

 セリナは一瞬、言葉を失った。

「結局それなのね」

「大事なことだろ?」

「まあ……そうだけど」

 セリナも魔物へ近づく。

 鋭い牙。

 厚い毛皮。

 かなり大きな身体。

「見たことのない魔物ね」

「じゃあ、ギルドに聞けば分かるか」

「そうね。依頼の調査対象でもあるし」

 ガルドは魔物を見ながら頷いた。

「じゃあ、持って帰ろう」

「持って帰るの?」

「肉になるかもしれない」

「……そう言うと思った」

 セリナは苦笑する。

 しかし、次の瞬間。

 ガルドは魔物の身体を軽々と持ち上げた。

「えっ?」

「どうした?」

「いや……それ、持てるの?」

「持てるぞ」

「……そう」

 セリナはもう驚くのを諦めた。

 こうして二人は、謎の巨大な魔物を担いで町へ戻ることになった。

 もちろん――。

 ガルドの頭の中にあるのは、ただ一つ。

「どんな味なんだろうな」

「まだ食べられるって決まってないわよ」

「食べられるといいな」

 セリナは笑った。

「本当に、あなたって食べることが好きなのね」

「うまいものは好きだ」

 草原を歩く二人。

 その手には、今回の依頼で倒した巨大な魔物。

 そして、この魔物が何者なのか。

 なぜ最近になって草原に現れたのか。

 その答えを知るのは――町の冒険者ギルドだった。

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Web小説書いてます。最強・ファンタジー・冒険・ほのぼの・飯テロが好き。Xアカウントはこちら→

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